アジア旅行に関する本—「バリ島裏町日記」

アジア旅行に関する本—「バリ島裏町日記」友成 純一著 (扶桑社BOOKS・kindle版)

「バリ島裏町日記」は、バリ島に行った時にプールサイドで読んでいる。
現地で読むと、臨場感が増して、さらに気分が盛り上がる。

この本では、バリのサヌールに住んでいる友成氏の日常がエッセイとして綴られている。
サヌールはバリ通な人が行く場所だ。
初めての人は、ほとんどがクタやスミニャック、ヌサドゥアに行くだろう。
最初からサヌールに行くのはよほど旅慣れた人だと思う。
地元の人が集うエリアという印象を私は持っていた。

本によると、サヌールには売春宿があり、著者はそのエリアに住んでいるらしい。
酒飲みの友成氏は、近くのバーに入り浸り、飲みすぎてそこで寝てしまったりしている。
放浪記のような雰囲気がある本だ。

昼からお酒を飲んで、売春婦とたわいのない会話を楽しむ。
読んでいると、理想的な引退生活のように感じるが、一面、友成氏は怠惰な生活に留まることなく、真面目にバリ語を習得し、現地の人との交流を深める。なかなか普通の日本人にはできないことだろう。

バリ島の地元民とのやりとりの様子を読むと、「やっぱりバリの人はいいなあ」と思ってしまう。
読んでいると、今まで会った陽気なバリ人の様子を思い出す。

私が接する範囲は、ホテルスタッフやタクシードライバー、コンビニやスーパーの店員ぐらいの限られた人だけだが、これまで嫌な気分になったことは一度もない。
みんな親切で優しい。

バリ島のホテルサービスが上質なのは、現地人の気質による部分が大きいと個人的には思っている。
「南国だから」と思うかもしれないが、暖かい地方でも意地悪な人が多い国もある(どことは言わないが)。

現地の人でしかわからない現地の事情を知ることができるのもこの本の魅力だ。
売春宿の仕組み、観光ビジネスの裏側、町の歴史、変化する生活慣習などなど。
バリ島が好きでよく行っている人でも知らないことがあるだろう。
現在のバリ島を伝える貴重な本だと思う。