マイル制度は誰のためにあるのか?
ワンワールドとスターアライアンスのマイルの仕組みを調べた時、「この制度は日本国内を出張で飛びまわるビジネスマン向けの制度だな」と思った。
逆に言えば、年に数回だけ海外に出かける人には向いていないのではないだろうか。
年に数回の海外へ行くぐらいでは、ステータスの獲得はとてもできない。
もし頑張って、そのステータスを獲得しても、翌年、同じことをしないといけない(もしくは維持するために年会費が必要になる)。

頻繁に会社のお金で乗るような人、つまり、管理職で、ビジネスクラスに乗れるような人にマイル制度はむいている。
「マイレージ・マイライフ」という映画で、ジョージ・クルーニー扮する主人公は1,000万マイル獲得を目標にしていたが、こんな無茶苦茶なマイル数を獲得することは、普通の人にはとても無理だろう。
映画の中で、主人公はマイル獲得のために、出張中の食事も目一杯食べる。
その飲食代も会社の金を使えて、マイルに加算することができるからだ(出張時の食事補助制度を利用)。
ビジネスマンであるからこそ、マイルを貯めることができる。
(蛇足を言えば、この映画のテーマは「自己の実現」と「他者への奉仕」だと思う。さらに蛇足すれば、原題は「Up in the Air」。「空中」での「未決定」)。
いわゆる「修行」と言って、上級会員を目指すこと自体に楽しみを見出すことができれば良いが、その航空会社にこだわれば、様々な制約を受ける。
あくまで、目的はビーチリゾートに行くこと。
移動にお金をかけるぐらいなら、他に使いたい。
背伸びせず身分相応なフライトを選ぼう。
私は、そのように考えるようになった。
それよりも、特定の航空会社に固執せず航空会社を選んだ方が自由度があるし、費用を抑えることができる。

航空会社側の視点に立って考えれば、マイル制度の狙いがさらによくわかる。
この制度は、頻繁に乗る優良顧客を囲い込むための販売施策だ。
飛行機を頻繁に利用する客が浮気して他社に流れず、継続して乗ってもらうことを狙っている。
そのような客はどんな客か?
ジョージー・クルーニーのような出張が多いビジネスマンだ。
会社の経費だから、価格にもシビアでない。だから、利益率も高い。
そういうわけで、この制度は、そもそもは、レジャー旅行で使う一般客はターゲットに含まれていなかったのではないだろうか?
所謂「修行」と呼ばれるようなマイルを稼ぐためだけに飛行機に乗る人が現れたのは、航空会社にとって想定外だったのかもしれない。
マイル制度の狙いを考え、「無理をしてもステータスを獲得する必要はない」と私は考えた。
これは人それぞれの考え方や価値観によるだろう。押し付けるつもりは全くない。
世間には上級会員の人がたくさんいるが、一方で、私のように考える人もある程度いるのだと思う。
その証拠にエアアジアの海外便はいつもほぼ満席だ。
JALがLCCのブランドを立ち上げたのも、そのことを裏付けていると思う。
マイルにこだわらないのは、上級会員に提供されるサービスが私にとって、それほど魅力的ではないということもある。
例えば、優先搭乗サービス。私はこれに大きなメリットを感じない。
到着時間は、みんな同じだからだ。
優先的に預け入れ手荷物が出てくるが、それほど時間差があるわけではない。
上級会員の大きなメリットであるラウンジ利用サービスは、プライオリティ・パスで代替ができる。
一度だけマレーシア航空のビジネスクラスに乗ったことがある。
座席をフラットにして寝ることができるのは助かったが、アジアに行く分にはそれほど必要ではない気がしたのも確かだ(逆に、いつもエコノミーで座ったまま寝ていたので、慣れなくて眠りにつくまで時間がかかったw)。
その後、マイル獲得を諦めたのと同様にビジネスクラスに乗ることはなくなった(元々乗れる程のお金を持っていないわけだが)。
将来、もし時間とお金に余裕ができて、費用を気にすることなくビジネスクラスに乗れるようになれば、考えも変わるだろうが、そんな財力を持つことは一生ないだろう。